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分散型エネルギーリソース(DER:Distributed Energy Resources)の普及と、その活用に向けた市場制度の見直しや規格標準化などの環境整備が進展する中で、仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)やDERMS(Distributed Energy Resource Management System)を活用するアグリゲーションビジネスの開発が増加しています。
PwCコンサルティングは、ビジネスの構想策定からシステムおよびセキュリティの構築、ビジネスの実行、事業管理の仕組み構築までを包括的に支援します。
近年、日本国内では再生可能エネルギー(再エネ)の普及やカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みが加速度的に進展しています。2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年度の再エネ比率を4~5割程度とする見通しとともに、DER(Distributed Energy Resources)の普及およびDERを活用したアグリゲーションビジネスの促進が明記されました。今後、系統側(FTM:Front of the Meter)では再エネ設備に併設する蓄電池/系統用蓄電池の導入、需要家領域(BTM:Behind the Meter)では太陽光発電や蓄電池、電気自動車(EV)、ヒートポンプなどの導入が加速していきます。
DERの普及に伴って、DERを活用したビジネスも多様化しつつあります(図表1)。FTMリソースの領域では、再エネの変動に対応して、発電量を予測して市場に卸売りする運用(再エネアグリゲーション)が始まっています。この際、再エネに併設蓄電池を設置し、市場価格に合わせて売電の時間帯をシフトすることで収益の最大化を狙う運用もなされています。また、導入が急拡大する系統用蓄電池では、卸電力市場だけでなく需給調整市場にも参加し、蓄電池マルチユースによる収益の最大化が行われています。またBTMリソースの領域では、小売事業者とDR(Demand Response)アグリゲーターが連携して需給管理に貢献する経済DRや、VPPアグリゲーターが容量市場(発動指令電源)として逼迫時の供給力や需給調整市場の取引に使い、得られた市場収入を需要家に還元する運用がなされています。2026年度からは、これまで対象外であった低圧リソースにも市場が開放され、ビジネスが広がる見込みです。また近い将来、DER普及に起因する系統混雑の解消や地震などの災害時におけるレジリエンスの強化、設備増強回避に貢献するDERアグリゲーターというプレーヤーの登場も期待されています。
図表1:DERの普及拡大に伴うビジネスの広がり
今後、多種多様かつ膨大なDERを統合的に活用していくことを考えると、運用方法の高度化や効率化、特にデジタル技術の活用は一層重要となるでしょう。特に、近年のDERの急拡大でDERMS(Distributed Energy Resource Management System)と呼ばれる、ローカル系統・配電系統で配電系システムと連携してDERを管理・活用するソリューションが必要とされ、海外市場においてもその導入、活用に向けた動きが活況になっています。将来的には、日本国内においても海外市場と同様に、これまで検討されてきたVPPビジネスを支援するデジタルソリューションに加えて、配電系システムとの連携でDERMSの活用も検討していくことが必要となります。その際は、エネルギー領域への新規参入・事業拡大を目指すさまざまなプレーヤーと既存の電気事業者が連携して、ビジネスの検討とテクノロジーの検討を両輪で進めることが重要になると考えます。
DERを活用したビジネスへの期待から、先行者利益を得たい事業者がビジネスを開始しています。FTM領域では、特に市場価格に対し一定のプレミアムを交付するFIP制度の活用に転換した再エネ設備に関して、併設型蓄電池を利用してプレミアムを最大化するような運用をすることや、系統用蓄電池でも需給調整市場や容量市場での取引に加えて卸電力市場での値差取引で一定の収益を獲得する案件が生まれています。
BTM領域では、特にリソースの規模が大きい、高圧需要家のリソースを活用して収益を得るモデルが確立しました。今後は、家庭用蓄電池やEVバッテリーのような低圧リソースにビジネスの範囲が拡大し、小売事業者の需給管理に活用する運用(経済DR)や、2026年から需給調整市場で開始される低圧アグリゲーションでの活用が期待されています。近い将来には、ローカル系統・配電系統での混雑時に蓄電池で混雑を解消する価値や、DERを使うことで系統増強を回避したことの価値を、DER取引市場を通じてマネタイズするユースケースも考えられます。
以下の図表2ではDERを活用したビジネスの概要とユースケースをFTM領域とBTM領域に分けて整理しています。
図表2:DERを活用したビジネス概要とユースケース
このように事業オプションが多様化し、電気事業の制度自体が頻繁に変更される現状において、ビジネスの具体化は一層難しくなってきています。事業構想から実行まで多くのタスクをこなす必要があり、かつその成果をモニタリングし、改善のサイクルを回すことも重要です(図表3)。また、各タスクを担当する推進チームは実務上のさまざまな課題に直面し、高い負荷がかかることになります(図表4)。
図表3:ビジネス推進のプロセス全体像
図表4:事業化に向けて直面する課題例
ここで最も重要なことは、制度だけでなく競合やITベンダーなどのプレーヤー動向が変わるような環境変化に対して、局所最適に陥らず、全体を俯瞰して必要に応じて適応していくことです。例えば、PoCや実証事業を通して部分的に構築したままの業務やシステムをそのまま本番運用に移行するといったことが時折見られますが、そういった試行的な状態を放置せず、サービス・組織・業務・システムといったあらゆるレベルでビジネス全体の最適化を図っていくことが重要と考えます。
PwCコンサルティングでは、分散型エネルギーリソースおよびバーチャルパワープラントの事業化のプロセスを支援する総合的なサービス提供を行っています。変わりゆく制度やクライアントの取り組みの進捗に応じて、社内のエキスパートとPwCのグローバルネットワークによるナレッジにより、包括的にご支援することが可能です。
1 各種調査支援
2 各種構想策定支援
3 実行支援
4 オペレーションシステム構築支援
制御系、情報系、クラウド、IoT機器など、さまざまな要素が連携するVPP環境において安全かつ安定した電力供給を実現できるよう、セキュリティリスクの可視化から設計、診断・テストまで支援します。